おかえりなさい、お父さん。

父、退院。

ちょうど1ヶ月前の4月11日、父が倒れ、二度の心肺停止、下血し、危篤状態だった。

先週カテーテル手術を行い、数日後の今日、無事退院した。

色とりどりの春の花から少し汗ばむ新緑の5月になっている。

おかえりなさい、お父さん。

もともと細身の父だが、8キロ痩せたと言う細い手足と、呼吸器を入れる際に折れてなくなった前歯のせいで、以前とは違う面持ちの父。

家に帰ってきたとはいえ、特別はしゃぐほどの感慨はなく、父にしてみれば久しぶりの自室でゆっくりと過ごしたいことだろう。どう思っているのだろうか。

父は死んでしまうんだ、という場に立ち会い、そうではなかった今となっては少し気恥ずかしい気持ちもするけれど、ここに、今、父が存在しているということ自体、安堵した感覚もある。

とはいえ、母や私にとっては気づかい等の仕事が増えることでもあり、わがままな父との生活は今後どうなっていくのか、それはそれで、その時々で、また、変わっていくのだろう。

老いていくこと、生活していくこと、小さなコミュニティである家族という単位の中にいれば、それだけで安心するのかもしれない。

私自身、今のところ身体的に不自由なく生きているが、そうではなくなった時、どうなるのか、どうしたいのか、想像はできるけど、私にはまだ、そういうリアルな世界が感じ取れない。

でも、そんなものだと思う。

不安になる時もあるけれど、まあ、そんなもんだ、と思えばいい。

会話しているだけのこのひとときが尊い。

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