通勤

新潟のよくある曇った空。
時々あたる雨。

私はいつも通り片道44kmを運転し、職場にたどり着く。
1時間15分、いつも変わらない到着時間。
遅刻はない。

嫌になるほど毎日同じ時刻につく。
同じ44kmを運転して家路につく。
もう10年も同じルートを通ってる。

とっくに飽きている。
目をつむって運転できるほど、この道のりが身体に染みついている。

フロントガラスに飛び込んできた虫が、体液なのかなんなのか残骸がこびりつき、
私の視界をピンポイントに邪魔をする。

その濁った白の油みた粘膜が、
こびりつくままなのに、私の目にこびりついたままなのに、
道中停めて拭き取る元気さえも起こらず、
この状態のまま運転するしかない。

が、いよいよ不快で次のコンビニで立ち寄ることにした。
ダッシュボードにあった会社のノベルティ用ウェットティッシュを取り出し、
2、3枚引っ張り出し、アルコールでびっちり畳まれたシートを広げ、指にその感触が残らないよう、そのよくわからなくなった虫だったものを拭き取った。

それを店内にあるゴミ箱に捨てた。

ほっとした。
まるで今までの鬱積を捨てたようだった。
気持ちよかった。

でも店員に呼ばれた感覚になった。
そのまま店を出るにも気が引けて、350mlの缶ビール1本を買って店を出た。
今日もお酒を飲んでさっぱりしたい。

そう、そんな日々が10年続いている。





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